須坂西宮神社奉賛会 会長 中野 幸一良 氏

 皆様、初めまして。私達は信州の、須坂西宮神社奉賛会と申します。

 信州長野県は面積が広く、気候風土が異なるために、四ツのエリアに大別されます。信州の信をつけて、北は北信、南は南信、東は東信、中央部は中信といいます。須坂西宮神社のある須坂市は、北信濃、つまり北信地方となります。善光寺平(ぜんこうじたいら)という平坦な土地があるとはいえ、多くは山々にかこまれた地域です。そこに住む人の性格は慎重で、忍耐づよい一面、進取の気性にも飛んでいます。

 江戸時代には、堀家(ほりけ)一万石の城下町でしたが、江戸末期より明治、大正にかけ生糸産業の町として大いに栄えました。しかし、商業経営者の団結組織がなく、他の町村に遅れをとることから、商業者の守護神の建立を計画しました。大世話人、組世話人合計二十三名をもって進め、明治二十九年、摂津の国西宮神社に、特派懇請し、御分霊の許可をえて建立されました。場所は、芝宮墨坂(すみさか)神社の一角です。平成八年に百年祭を挙行いたしました。市民からは『おいべっさん』と愛称され親しまれてきました。現在、放散会員は約五十五名、その内、役員は十二名です。活動内容は、一月の初エビスからはじまり、季節ごとの月次祭、五月の本社参拝、十一月の例大祭、十二月の大祓いと、元旦に掛けての歳旦祭と続きます。けっして派手な活動ではありませんが、御神礼、お姿の頒布は特に大事な役割です。

 私達はいつも、どうしたらお宮に人々が参拝し、恵比寿(エビス)大神のご神徳につつまれ、幸せな生活が出来るよう考えています。特に十一月一日から三日迄のエビス講には会員みずから、笹を六阡本かりとり、お姿を取付け、参拝者に差し上げておりますが、秋の風物詩として喜ばれております。又最近の流行デザインを取り入れた各種お守り、熊手等を本社と相談してお分けいただき、頒布しております。こうした神事、活動にかかせないお方は勝山宮司でございます。神事のあとは、講話をしていただき、神への理解と精神の高揚をはかっております。

 江戸時代に西宮に住んでいた當舎屋金兵衛が、川から絶えず流れ出る土砂、或いは波風から西宮の港を守るため築州建築を計画しましたが、幾多の難関にぶつかり工事もなかなか進捗しませんでした。ここにあって一途に神仏に祈りを捧げ、加えて浜辺には海の神様である住吉社を勧請しました。このような厚い信仰、漲る情熱をもって更に事にあたると、漸く工事も進み、穏やかな港を築き上げることができました。これが遥か二〇〇年後の現在の西宮の港、日本でも有数のヨットハーバーにつながるわけです。川や風という自然から与えられた難問をひたすらなる信仰によって神々のご加護を受け、川の恵み、風の恵みへと調和させて見事に一大事業を成し遂げた例をここに見だすことができます。

 最後に、忘れてはならないエピソードを、ひとつご披露いたします。西宮本社の五月の祭事には、必ず五名位で参加しておりますが、かって、ひとりであっても、かかさず夜行列車で参拝していた方がいらっしゃいます。故青木政義さんといって、商工会議所の専務さんでした。最近になって、本社の方からお聞きし、感銘をうけました。そのように、私達の知らない歴代奉賛会長をはじめ、諸先輩が、つなげてくれたからこそ、今日の奉賛会があります。これからも相変わらず、西宮総本社のご指導を賜りまして、現役を離れ、高齢とはいえ元気な、先輩のご意見をお聞きして、進んでまいりたいと念願しております。
平成17年9月


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