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本年もえびす大神様のご加護のもと、益々のご健勝とご繁栄をこころよりお祈り申上げます
日本には四季が訪れ、廻る季節の折々に日頃からお世話になっている方々に感謝の気持ちを形として、まごころをこめた品物をお贈りする良き習わしがあります。この風習は江戸時代にも行われておりました。当時西宮神社では、管轄していた大坂東、西奉行所に暑気見舞いや寒気見舞いとして、季節が訪れると神主から武運長久を祈った祈祷巻数とともに酒などが贈られていました。奉行所側も時候の挨拶としてこのような贈り物は受取られていました。
奉行所からは定期的に寺社の見分があり、神社毎に具に境内を調査し建物等の間数が届け出と相違がないか照合を行っていました。安永四年(1775)の閏五月にも西宮においてこのような寺社見分が行われ、役人が当社にお越しの際に準備しておいた酒肴を差出し盃を勧めると「御役先之事故御断」りされました。それではと今度は旅宿に伺い、与力には鶏卵五十個入りを二籠、同心には三十個入り二籠をお届けした処、同じく「役先之事故難受」(仕事先のことなので受けとることはできない)と、後で返却されてきました。このような武士の気構え、けじめには感心せざるを得ません。自分の立場を利用するということとは対極にある、社会組織の中での武士としての強い使命感が大いに働いていたのでしょう。「武士は食わねど高楊枝」の通り、武士としての気位い、誇りを最も大切にしていたわけです。
この事例と今を比較すると、全く逆で現在では虚礼廃止と称し、時季の贈り物の風習はどんどん薄れ、その一方で前の例で申せば(便宜を図るとまでは言わないまでも)仕事先で何やら贈り物をこっそりと受取るというようなことが日常茶飯事に行われています。このように大切に受け継がれてきたわが国の美風について、私たちは儀礼や様式を形骸化させることなく、そのこころをもう一度学び直す必要があるのではないでしょうか。年を経て受け継がれ、季節の移り変りとともに繰り返し行われてきた節供を始めとする数々の行事をご家庭でお子様やお孫様とともに行われてはいかがでしょうか。
これらの行事を通して今失われつつある、いのちの尊さ、仕事の大切さ、自然への感謝のこころなどをご家族で話し合われ、この一年が皆様方にとりまして潤いのある年でありますようお祈り申上げます。
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