「えべっさんに恩がえしがしたい。」そう語った藤原あつ恵さんが当社を訪問されたのは昨年の八月頃。先だって医者から余命一年の宣告を受けてのご発願でいらっしゃいました。

震災で崩れた旧大鳥居
 藤原さんは当社が鎮座する西宮市の隣り、芦屋市にお住まいの方で、同地にて不動産業を営んでいらっしゃいましたが、阪神大震災の折に多くの物件を失い、大変なご苦労をされたそうです。

 例祭の斎行された九月頃までは車椅子に乗りながらも当社にご参拝に見えておりましたが、その後、容態は悪化。苦しい闘病生活の中にありながらもたびたび鳥居の進み具合を気にされていました。
 十一月十三日、鳥居建立前の清祓を行い工事の無事を祈願。そして来たる十二月十四日赤門前の大鳥居が復興いたしました。大きさは、震災で倒壊した旧鳥居と同じサイズ。このたびは、鳥居の柱にピアノ線を通し、揺れにも強い構造となりました。
ありし日の藤原あつ恵さん(中央)
 しかし残念ながら藤原さんは十二月七日、大鳥居の完成を見ることなく、お亡くなりになりました。完成から翌々日の十六日、関係者・マスコミの見守る中、清祓を斎行。この時、ご遺族の方は喪中に当たる為参列はされませんでしたので、翌十九年の二月十二日、ご遺族の参列のもと、改めて潜り初めを奉仕。併せて、鳥居前にてご親族の集合写真を撮影しました。

ご遺族に手渡される感謝状
 続いて西宮神社会館で行われた直会の席にて、神社本庁の池田厚子総裁から贈られた感謝状と、記念の写真を宮司よりご遺族の藤原庸祐さんにお渡しし、滞りなく、祭典を執り納めました。
 藤原あつ恵さんのご参列が叶わなかったのは、残念でなりませんが、きっと遠い空から大鳥居の竣功をお喜びになっているのではないでしょうか。お亡くなりになった藤原さんのご冥福をお祈りいたします。
清祓の儀
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